月食の適正露出について

あと10日後に迫った皆既月食
星の好きな方は,ぼちぼち観測準備に入る頃ではないかと思います。

私が初めて月食を見たのは,小学生の頃。
理科で星のことをやっていて,たまたま月食を見るチャンスがあったのです。
そのときは,スケッチをしたけど,これ,宿題だったかな?

その後中学生になり,カメラも手に入れ,その時の月食は写真撮影しました。

そこで気がついてこと。

露出時間が難しい。

月食は言うまでも無く,満月の日に起こる現象。
しかし,その時の月の明るさは,実に微妙。
月のほうから地球を見れば,日食が起こっているわけで,月から見て,太陽が中途半端に欠けた状態の時の月の表面の明るさは,通常の満月の明るさよりも暗くなる。
しかも,地球には厚い大気があり,そこを回り込んだ光が届く。皆既食中も,月はぼんやり赤く光る。

天文年鑑などに出ているデータに従って撮影すると,80%ぐらい欠けた月では,月の明るい部分が露出オーバーになります。

天文雑誌のフォトコンのページを調べ,「月の欠け具合」ではなく,「月が地球の影のどのあたりに居るか」という基準で,欠けてゆく月面の露出時間を割り出しました。
その結果,かなり深く欠けるまで,満月の露出時間〜プラス1段階ぐらいで,月の模様が白くつぶれない,適正露出が得られることが分かりました。もちろん,この露出時間では,本影に入っている部分は全く写りません。食分0.9を越えたあたりから,段階的に,一気に露出時間を増やしてやります。デジタルなら,安全のため,何段階か露出を変えて,たくさん撮っておけます。

そして,皆既食中の月の明るさ。
これは,正直,欠けてみないと分からない。
明るく見える皆既食なら,F5で1秒ぐらいの露出で,写りますが,暗かった場合は,長時間露出が必要となります。

欠け始めから皆既食になるまで,1時間ぐらいですから,デジタルでたっぷり撮って,後でムービーに再構成しても楽しい。

ちなみに,自動露出だと,ほぼ確実に露出オーバーになります。
月をスポット測光出来るなら,チャレンジしてみる価値はあります。

確実なのは,前日に試写して,月の適正露出を決めておくことだと思います。月食のときは,それを基準に露出を増やしてゆけば良いのです。